2019年3月期を終えて

~創業以来の16期連続増収増益を達成、経常利益は過去最高を更新~

代表取締役社長 中西 聖

2019年3月期は、中国経済の減速や米中貿易摩擦の長期化、欧州政局不安による世界経済の緩やかな減速と国内景気の不透明感から、株式市場、債券市場が乱高下するなど、経済状況は不安定な状況となりました。これらの要因により、投資家のリスク回避行動による国債買いが起こったことで、長期金利は低下し、足許では減速懸念の緩和や日銀の買い入れ減額の思惑から多少の上昇圧力はあるものの、米国金利の頭打ちや米中関係、Brexit等を総合的に勘案すると世界的に金利は上げづらい状況となっており、日本も景気対策等固有の理由から金利を上げられない状況になっていると考えられます。また、バブル期を上回る人手不足により堅調な雇用・所得環境の改善は見込まれている一方で、好調な企業収益にもコントラストが出始め、各種政策による景気対策が打たれているものの、消費マインドに影響を与える消費税増税も控えていることから、全般的に不透明感が出てきているように感じられます。

不動産業界のうちマンション業界につきましては、首都圏の2018年度のマンション供給戸数が前年度比ほぼ横ばいの36,641戸となったものの、都区部の供給戸数が5.7%の減少となった一方で、埼玉県や千葉県のそれが20%以上の増加となるなど、郊外への開発拡大が鮮明になる形になりました。しかしながら、首都圏におけるコンパクトマンション(専有面積30㎡以上50㎡未満)の2018年1月~12月の供給戸数は3,237戸、シェア8.7%で4年連続の増加かつ2010年以来の3,000戸突破という結果になっており、都区部では全供給の16.3%をコンパクトマンションが占めるなど、そのニーズの強さを非常に感じる状況となりました。

また、収益不動産の領域につきましては、一部金融機関、不動産業者の不適切融資の関係で、一部融資環境が厳しくなり、一部のアパートや1棟収益物件の販売が低迷する状況となっているものの、収益性のある物件やマンション投資は、その商品性の確からしさ、堅調な賃料の伸び、低金利の恩恵などから、融資環境含め好調を維持し、安定収益投資としての相対的優位性が上がる状況となっています。

このような経営環境の下、当社は第4四半期に集中した竣工・引渡も予定通り完了し、業績は第2四半期決算発表と同時に上方修正した予想通りの着地となり、創業以来の16期連続増収増益を達成し、経常利益は過去最高を更新する結果となりました。特に同業他社と異なるのは、他社が粗利率を下げている中、当社は粗利率を上げることが出来ており、これが増収増益に貢献したところになります。これは、都心集中戦略による確かな立地における賃料の伸びと、そのような商品に対するニーズの強さによるものと考えています。加えて、マーケティング戦略、CRM戦略の進化により、広告効率、販売効率の上昇が図られたことでコスト圧縮を実現することができたこと、ストックビジネス関連の収入を確実に積上げることができたことなども増益に貢献しました。また、社会貢献活動の面においては、東日本大震災の義捐金寄附を、当初5年間の実施予定から追加で3年間実施し、計8年間、約8,000万円の寄附を完了した事業年度にもなりました。

このような環境、状況等が寄与するだけでなく、ステークホルダーの皆様の支えもあって、当社としては一つの通過点であると考えてはいるものの、2019年3月期において、東証一部上場を果たすことが出来ました。この場をもって、皆様の日頃からのご高配に感謝申し上げます。

今後の方針

~「成長性」から「堅実性と将来の成長性確保」へ~

2019年3月期は、様々な要因がありながらも、着実に創業以来の増収増益、最高益の更新を達成することができました。しかしながら、足許では金融環境、不動産市況等の不透明感が非常に強くなってきています。今後のこれらの動向を総合的に勘案すると、何かあったときにブレーキをかけても止まることの出来ない、耐えることのできない企業であってはならないと考えています。そのため、アクセルを踏み込んでいく「成長性」という方針から、アクセルの強弱を安定して調整できる「堅実性と将来の成長性確保」という方針に転換する、いわゆる足踏みダイエットをすることを決めました。この方針のもと、バランスシートの圧縮やストックビジネスによる利益のシェア拡大、コストのスリム化を優先することで、財務体質の強化と市況変動リスクへの耐性の強化を図り、将来の成長の土台にしていく、つまりは、将来の成長性を確保していくこととしていきます。これを実現するためには、ビジネスフローの変革をはじめとして、様々な方法を考えていく必要がありますが、当社のベストプラクティスを見出していくべく、深く様々な事項を検討していくこととしています。収益面での一つの施策としては、2020年3月期は、自社ブランド物件に焦点を当てた中古物件の買取再販事業を強化していきます。これは、足許における中古区分マンションへの高いニーズに応えるということだけでなく、バランスシートへのインパクトを少なくした上で利益が創出できるという効果もあり、また、オーナー様にとってもここ数年の不動産市況を受けての利益を確定させた上で新たな資産にレバレッジを効かせて入れ替えることができるといった三方良しの施策になるものと考えています。

~デジタルトランスフォーメーションの推進~

また、コスト面での一つの施策としては、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を徹底していきます。そのために、DXチームを社内に立ち上げ、圧倒的なオートメーション化による省力化や圧倒的なペーパーレス化、顧客満足向上を目的としたCRMの進化などによるコストダウンを部門最適、全社最適の観点から検討し始めています。これは、省力化・省資源化のみならず、社員の業務環境をクリエイティブな業務に集中できる方向に変えることができ、結果として創造的な事業推進、事業開発をすることができるようになる効果がある施策になるものと考えています。

~新規事業の推進~

一方で、上記のような「堅実性」を重視するものの、当社が中期ビジョンに掲げている「進化・変革とサステナビリティの共存」というビジョンのもと、新規事業の展開に向け、2019年3月に新規事業開発チームを立ち上げました。世の中では、通信環境が4Gから5Gに変わることによるIoTの進化などが取り上げられており、新たなビジネスチャンスが多く見受けられる状況となっています。当社としても、マーケットで勝つ事業を創出し、長期ビジョンに掲げる「イノベーションを起こし続けるビジョナリーカンパニー」の実現につなげていくために、この新規事業開発チームが事業開発やM&Aを積極的に検討していく方針としています。特にバランスシートを膨張させないサービス関連収入に注力しており、これを出来る限り早く果実に変えていくことを念頭に邁進しています。

~不動産クラウドファンディング実現へ~

当社の新規事業は、次の二つの軸で検討しています。
 ①自社のリソースや強み、ノウハウを活用した事業の拡張
 ②社会を変革するサービスの提供

①の場合ですと、2017年3月期に開始したダイバーシティレジデンシャル事業や2018年3月期に開始した都市型S-typeレジデンシャル事業が挙げられます。ダイバーシティレジデンシャル事業は、ライフスタイルの変化に応じて様々な使い方ができる、つまりは利用価値と資産価値のハイブリッド性がある物件へのニーズが強く、2019年3月期には売上規模で50億円弱にまでなりました。また、都市型S-typeレジデンシャル事業は、中間富裕層の資産形成のニーズを拾うことができ、2019年3月期で売上規模5億円強、2020年3月期には売上規模15億円強になる予定です。

2020年3月期は、②のケースとして、不動産クラウドファンディングの開始を予定しています。不動産クラウドファンディングでは、スマートフォン片手に1万円という少額からの投資が可能なサービスを予定しており、不動産投資のデジタル化としての第一人者を目指し、初年度に大多数の会員を集めることを目標としています。その手始めとして、情報発信のためのプレサイトを本日オープンし、プレ会員登録の受け付けを開始しました。また、実際にファンディングを行う本サイトは第2四半期頃のオープンを予定しています。クラウドファンディング成功のカギは、圧倒的会員数であると当社は考えており、2020年3月期は、会員集客に先行して集中的に投資を行うことを予定しています。

2020年3月期は、将来のパイプライン確保と財務バランス、金融環境と社内リソースの調整等を総合的に勘案した上で、不動産クラウドファンディングの会員集客に集中投資を行っていくという考えをベースに業績予想は、売上高を2019年3月期から据え置きとし、あえて営業利益、経常利益は増益させず、一旦利益を低下させても投資すべきという意思決定をしました。

終わりに

~あらゆる視点で進化・変革に取り組む~

2020年3月期は、既存事業の不動産開発販売においては、「成長性」から「堅実性と将来の成長性確保」という方針に転換する、いわゆる足踏みダイエットをする期とします。一方で、不動産クラウドファンディングのような新規事業には、勇敢に挑戦していくという期にもなります。これを実行していくためには、あらゆる視点で、既存の方法にとらわれない新たな取組に挑戦していくことが重要であると考えており、全社的に取り組んでいく所存でいます。その一つとも言えますが、通年採用などをはじめとする今後の採用環境の変化に対し、自社の採用力を強化すべく、リファラル採用チームをプロジェクトチームとして立ち上げ、あらゆるチームメンバー探しに挑戦しているところであります。

今後も、こういったサステナビリティのための進化・変革を積極的に行っていく所存ですので、変わらぬご理解とご支援を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。

2019年5月
プロパティエージェント株式会社

代表取締役社長
代表取締役社長 中西 聖

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