2021年3月期を終えて

創業以来の18期連続の増収増益達成

代表取締役社長 中西 聖

2021年3月期は、新型コロナウイルスの世界的な流行拡大の影響を受け、経済活動が停滞し、景気は大幅な悪化の状況となりました。新型コロナウイルスの国内における感染拡大は秋口に一服したものの、年明け以降急激に感染拡大し、それによって2回目の緊急事態宣言が発せられ、飲食・個人向けサービス業を中心に未だ厳しい状況が続いていると認識しています。今後は、ワクチンの普及などによる経済回復が期待されますが、変異株による感染再拡大の懸念など、先行き不透明な状態が続くと想定されます。

このような状況の中、テレワークや5G関連で財輸出が堅調な製造業などが持ち直したのに対し、新型コロナウイルスによる移動自粛、時短営業などの影響を受ける運輸業、飲食業は厳しい状況が続くなど、企業収益は二極化の様相を呈しています。また、雇用・所得環境も飲食・宿泊業などで雇用環境が悪化し、企業の雇用過剰感や残業削減などから所定外賃金が伸び悩んでいることなどから、個人消費が低迷する状況となっており、この回復が明確化するのは、高齢者を中心にワクチンの普及が進む秋以降になると予想され、長期化の様相を呈しています。このような経済環境に対し、日銀は経済対策の一つとして、急激な金利上昇を抑制するための「連続指値オペ制度」の導入を決定し、イールドカーブの低位安定を優先する姿勢を明確化しました。これにより、長期金利は低下し、当面は現行水準近辺での推移が続く見通しとなっています。

そのような中、不動産業界、特にマンション業界は、首都圏の2020年度(2020年4月~20213月)のマンション供給戸数が、前年度比1.7%増となり、1度目の緊急事態宣言後の7月以降に急回復するも2年連続の3万戸割れの結果となり、都区部のそれは、15.2%減という結果になっています。また、販売価格の面においては、首都圏エリアの1戸あたりの平均価格は1.0%下落、㎡単価は0.4%上昇と単価は9年連続の上昇となり、バブル期以来の高値という結果となり、都区部のそれは平均価格2.2%増、㎡単価は6.1%増と、引き続き高値を維持した結果となりました(㈱不動産経済研究所調べ)。

資産運用を目的とする投資用マンションは、収益の源泉となる分譲マンション賃料が、20213月の都区部で、3,869/㎡と前月比0.6%のアップとなっており、20208月に記録した直近の最高値を更新するなど(()東京カンテイ調べ)、引き続き底堅い成長市場となっており、都区部の不動産の収益性の高さを表しているものと考えています。2020年度の都区部のマンション供給戸数が減少したことからも、今後も新築供給戸数が大きく伸びないことが想定され、都区部のマンションは需給関係によって、さらに価値が増していくものと考えています。これを裏付ける事象として、直近では、大口のファンドや資金に余裕がある事業法人による物件購入への攻勢が続いており、当社にも数多くの引き合いが来ている状況となっています。

2018年という早期からのDXへの取り組みによりコロナ禍でも好走

2021年3月期は、新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言から始まり、文字通りWithコロナの1年となりました。B to Cビジネスを基幹ビジネスとしている当社としては、期初に非常に大きな不安を抱いたことは記憶に新しいところです。しかしながら、そのような状況でこそ、2018年という早期から取り組んできたDXが非常に力を発揮し、結果として、継続した事業拡大をすることができました。特に、2018年に開始した社内書類の電子化やzoomでの商談、2019年に開始した電子契約やIT重説により、在宅での稼働確保と商談・契約機会の確保が可能となり、これが功を奏したことにより、第1四半期は前年同期を上回る営業成果を出すことが出来ました。これは、確かに外出自粛によるいわゆる「おこもり需要」も寄与したかと思いますが、それ以上に当社の早期からのDXへの取り組みが好走した結果であると考えています。

中古不動産マッチング事業「スマートセカンド」好調、9か月で230戸販売引渡

2021年3月期より、新築の供給拡大のみならず、近年ニーズが高まりつつある中古マンションについても、その流通に本格参入し、当社では中古収益不動産マッチング事業「スマートセカンド」として、事業立ち上げをし、我々の事業エリアにおけるマッチング件数としては、順調な滑り出しとなりました。この順調な滑り出しの要因としては、まず、スマートセカンド事業は、ウェブ広告との相性が非常によく、かねてより当社が取り組んできたウェブマーケティングとのシナジーを大きく発揮し、順調な集客を実現できたことがあげられます。これに加えて、この事業に専念する新事業部を立ち上げ、この事業における販売・仕入手法を仕組化し、これに合わせた評価体系を構築するなど、今後の中期ビジョン達成に向けた中核事業としての土台を構築できたことも要因として考えられます。また、当事業は、DXによる生産性の向上が成功の肝と考えており、DX専任部署メンバーと事業部門メンバーによるクロスファンクション機能を置いて本格的なDXに取り組むなど、様々な工夫を行っています。特に収益の源泉となる仕入業務では、業務の爆速化・効率化を図り、加えて、仕入業者数の拡大とリレーション強化を図ったことにより、年間の仕入契約数は400を超える戸数となっています。今後は、販売の効率化と生産性向上のため、より進化したCRMSFAを構築すべく、この領域におけるDXをさらに進化・変革させていきます。

顔認証サービス『FreeiD』を展開する子会社DXYZ本格始動、販売・賃貸の好走に寄与

顔認証サービス『FreeiD』を展開する当社の子会社DXYZ株式会社が本格始動し、FreeiDを導入したマンション「クレイシアIDZ学芸大学」と「クレイシアIDZ王子」が竣工しました。このFreeiD導入マンションは、『FreeiD』導入により、その物件の付加価値が上がっており、相場より若干高い賃料での賃貸募集を行っていますが、他の物件よりも順調な賃貸状況となっており、販売も非常に順調に推移したことから、これが収益物件の資産性を向上させているという実感を得ています。このマンションでは、DXYZ株式会社が展開する顔認証IDプラットフォーム(FreeiD)のアプリに、入居者が顔情報を登録し、マンションに設置されている顔認証端末に顔をかざすだけで、エントランスの入場、メールBOX・宅配BOXの解錠、エレベーターの呼び出し、各戸への入室が可能となります。また、⼊居者は、「One Time(鍵貸し)機能」(特許第 6690074 号)を使って、家族・知⼈にFreeiDアプリを通じて⼀時的な⼊室権限を付与することが可能となっており、これにより⼊居者が不在の場合でも、家族・知⼈を指定の時間、⾃宅に招待することが可能となっているなど、入居者にとっての利便性に優れていることが資産性向上につながっていると考えています。

1億総顔認証時代の開拓、顔認証IDプラットフォーム推進、様々なシーンで顔認証利用へ

DXYZ株式会社では、顔認証サービス『FreeiD』に関連して、数多くの特許を取得することができています。これにより、今後当社グループが優先的かつ独占的に、このサービスによる利潤を得ることが出来る状況になりつつあると考えており、また、マンションソリューションやオフィスソリューションなど、商品も一定程度完成してきたため、マネタイズの段階に入ってきていると考えています。そのため、このサービスの付加価値を今後は積極的に外販していくことを予定しているところですが、日経新聞やワールドビジネスサテライトなど多数のメディアで取り上げられたことで、非常に注目を集めていると感じており、現在様々な業界への導入検討を進めている段階になっています。具体的に言いますと、マンションのみならず、オフィス受付・エントランスセキュリティやホテルチェックイン・アウト、決済サービス、施設入場制限などあらゆる業界での検討を進めており、引き続き、「行く行くはMaasインフラの一つとする」ことを目標に1億総顔認証時代の幕開けをDXYZ株式会社が切り拓くべく、事業活動をしています。

システム開発会社アヴァントをグループ会社化 DX推進事業拡大とグループ収益の向上推進

2021年3月期において、クラウドやAI等を活用したシステム開発、最先端技術の研究開発を行うシステム開発会社アヴァント株式会社をグループ会社化しました。アヴァント株式会社は、システムを小さく開発して導入する「スモールSI」の推進や不動産業界におけるマイソクの画像認識技術を用いた取り込みなど画像解析・画像処理技術に強みがあり、この強みを活かした不動産デベロッパーにおける業務システム開発などで豊富な経験を有しています。アヴァントは、これまでの知見とノウハウを最大限活用し、スモールSIによるDXと導入会社に対する開発から保守・運用までのワンストップでのサービス体制構築を模索しています。また、当社グループにおけるDX推進や顔認証サービス『FreeiD』とアヴァント株式会社における複雑な不動産業界におけるビジネスプロセスの効率化とDXによる生産性向上を図る技術・ノウハウによって、双方にシナジーを発揮すべく、具体的にプロジェクトベースにて協業を開始しており、これによってグループ会社としての収益性の向上とユーザー利便性の向上を図っていくステージに入っていると認識しています。

不動産クラウドファンディング『Rimple』 10倍超の応募

2020年2月よりオープンした不動産クラウドファンディング『Rimple』につきましては、個人投資家の投資ニーズは引き続き強く、3月募集のRimple’s Selection #11では10倍超、4月前半募集のRimple’s Selection #12では7倍超、4月後半募集のRimple’s Selection #13では4倍超と募集金額の規模によって波はあるものの、非常に多くの投資家の方から応募をいただいている状況が継続しています。今後の当事業に拡大を見据えた場合、投資家の満足度向上が非常に重要であると考え、20214月より毎月第2、第4金曜日を「Rimple’s Friday」とし、ファンド組成のペースを2倍にする取り組みをしています。これによって、投資家とのリテンションが強くなり、継続的な投資家層の拡大と満足度向上を図っていけると考えています。

上記で述べたような20213月期の取り組みは、全て下記当社グループの中期ビジョンの実現に向けた取り組みであり、現時点においては、全て課題はあれど順調に推移しており、全社の業績も好調に推移しているものと考えています。その結果、20213月期の業績として、創業以来の18期連続増収増益を達成しました。

<当社グループの中期ビジョン>
・収益不動産のリーディングカンパニー
・利益創造力の最大化
・進化・変革とサスティナビリティの共存

今後の方針

売上高1000億円、時価総額1000億円、知名度No.1を目指して

当社グループは、企業理念として「不動産と不動産サービスの価値を創造、向上し、社会を進化させ、人の未来を育み最高の喜びを創出する」を掲げています。近年、短期ビジョンを達成し中期ビジョンを明確化する際、この企業理念に「社会を進化させ」という言葉を加えました。これは当社グループの長期ビジョン「イノベーションを起し続けるビジョナリーカンパニーになる」というものにも通じており、これに基づく中期ビジョンとして、先述の中期ビジョンのうち「進化・変革とサスティナビリティの共存」がおかれています。2020年度においては、この中期ビジョンの定量目標として、売上高1000億円、時価総額1000億円、知名度№1という指標を持ちました。これを達成するためには、中核事業である新築分譲事業にて年間1,200戸以上、中古不動産マッチング事業にて年間2400戸以上実施していくことが、必要となってきます。また、これと併せて、現時点において中核事業以外の事業、FreeiD事業やDX事業を軌道に乗せ、成長させていくことも必要な条件であり、これの成長によって時価総額も拡大していくものと考えています。そのための方法にもなるのが、知名度№1であり、この知名度№1に向けた施策としては、20212月及び20215月にテレビCMを実施しました。テレビCMはマスに遡及する広告のため、今後の2025年度に向けた中期的な投資と当社では位置付けていますが、この遡及により、当社が集中戦略を展開する東京都心の新築、中古マンションによる不動産投資マーケットのシェアを圧倒的に獲得することを考えています。当社がここ数年強化し、得意領域としてきたウェブマーケティングによる集客と、未だ強い影響力をもつテレビCMの二本立てによるマーケティング戦略は、他社から圧倒的に抜きに出る戦略になると確信しており、この効果はさらに、マンション開発における用地購入事業者としての地位も、東京都心エリアにおいて、今以上に高いものにすると考えています。この施策に掛け算するように、他の事業者にはない高いITリテラシーとグループ会社アヴァントの技術力、2018年から開始したDXノウハウなどを融合し、圧倒的な効率性と知名度をもって、中期ビジョンの定量目標を実現する所存です。

終わりに

このようなコロナ禍の経済環境ではあるものの、当社といたしましては、2018年に掲げた経営方針『登頂ダイエット』(会社を肥大化させず、筋肉質な組織を組成し、業界トップという頂を目指すという方針)を、今もそして今後も継続していく方針でいます。

また、最後になりましたが、コロナ禍という不確実性の高い業況であったものの、20213月期も創業以来の18期連続増収増益を達成しました。そのため、当社の株主様への還元方針に沿って、配当予想通りの前期比増配での配当を実施させていただく予定としております。当社といたしましては、より多く株主様に還元したいという想いはあるものの、新型コロナウイルスの収束時期の不透明さによる内部留保資金の重要性や今後の事業成長に向けた成長資金の確保を考慮した結果の配当金であるということを、どうかご理解いただければと存じます。

今後も経営理念の実現を目指し、また、新型コロナウイルスがもたらした新たな世界において、より一層プレゼンスを増していけるよう、邁進してまいる所存ですので、引き続きのご支援を賜りたく、何卒よろしくお願い申し上げます。

2021年5月

代表取締役社長
代表取締役社長 中西 聖

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