【 目次 】
先日、かんぽ・ゆうちょで「リスク隠し」をしていたことが話題になりました。リスク隠しとは、投資商品において本来伝えるべきリスクを伝えずに、「顧客を騙していた」と捉えられても仕方がないことをしたということです。
この「リスク隠し」に関しては全ての投資で警戒すべきであり、当然ながら不動産投資も例外ではありません。
不動産投資においてリスク隠しが起こり得るとすればパートナー、いわゆる物件の紹介や管理全般を行う不動産投資会社で主に起こり得ます。かんぽ・ゆうちょで起こった「リスク隠し」を参考に、不動産投資会社選びで失敗しないための3大重視ポイントを解説していきます。
不動産投資のリスクについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
ゆうちょで起こったリスク隠しとは?
2019年に世間を賑わせたニュースの1つに、「ゆうちょ銀行員によるリスク隠し」が挙げられます。
簡単にいうと、リスクがあることをきちんと説明せずに、金融商品を売ったという内容です。その背景には、営業マンに厳しいノルマが課せられており、顧客満足度よりも「ノルマ達成」を重視した風土がありました。
実際、ゆうちょ銀行に寄せられた投資信託などに関しての苦情は、毎月100件前後で推移しており、2019年7月は約600件まで増えました。ゆうちょ銀行では、70歳以上の高齢者に投資信託を販売する際に、顧客がきちんと理解しているどうか「理解度チェックすること」が内規で定められています。
しかし、この内規に違反した不適切契約が1万7700件もあり、顧客と契約を結ぶ際、リスクをきちんと説明していなかったことが明るみになりました。投資商品にはリスクがつきものですが、それをきちんと説明しないことによって顧客が「安全である」と誤認してしまったことが、今回の最大の問題点といえるでしょう。
不動産投資会社を選ぶ際に重視する点〜リスクについて話してくれるか〜
前項で、ゆうちょ銀行が行ったリスク隠しの内容が分かったと思います。この章より、「不動産投資」にフォーカスして、不動産投資会社を選ぶ際に重視する点を解説していきます。
1つ目のポイントは、不動産投資に関する以下の主なリスクを含め、起こり得る可能性があるリスクを全てきちんと説明してくれるか確認をするという点です。
- 空室や家賃下落リスク
- 家賃滞納リスク
- 保障会社のリスク
- サブリースのリスク
- 金利上昇リスク
- 売却時のリスク
- 天災地変のリスク
上記のような不動産投資における主なリスクを隠しているということは、前項で解説した「ゆうちょ銀行のリスク隠し」と同様のことだと言えます。当然ながら、そのような不動産投資会社は信用できません。
以下より、それぞれのリスクについて、どのような説明をする不動産投資会社は信用できないかを解説します。
関連記事:不動産投資の8大リスクヘッジ法!リスクを制して不動産投資を制す
空室や家賃下落リスク
不動産投資には空室や家賃下落がつきものです。詳しくは後述しますが、これらのリスクを織り込まれていないシミュレーションは現実的ではありません。空室や家賃下落が含まれないシミュレーションのみを提示してくる不動産投資会社は、数値を「よく見せよう」としているだけなので、信用しない方が良いでしょう。
関連記事:空室リスクの備えは万全⁉発生前にやるべきこと・発生後にやるべきこと
家賃滞納リスク
不動産投資のメイン収益は家賃ですが、その家賃が滞納されてしまうリスクがあります。こうしたリスクに対する決まり文句として、「保証会社を付けておけば大丈夫」や「サブリース契約にすれば大丈夫」といったものがありますが、保証会社やサブリース契約にもリスクがあるのでその点をきちんと説明するかどうかは重要なポイントです。
保証会社のリスク
そもそも保証会社とは、賃借人が家賃を滞納したときなどに、家賃を保証する会社です。そのため、滞納時も安心できることは間違いないのですが、以下のリスクがあります。
- 保証する期間や金額はプランや会社による
- 保証会社の入居審査が厳しい
- 保証料が発生する
これらのリスクを説明せずに「保証会社がいれば安心です」というのは、明らかに説明不足といえるでしょう。
サブリースのリスク
ここでいうサブリースとは「空室保証」のことであり、空室時や入居者が家賃を支払わない状況であっても、家賃が保証される仕組みです。というのも、サブリース契約を結ぶと、そのサブリース会社と賃貸借契約を結び、サブリース会社より賃料が支払われるため、空室であろうが入居者が家賃を滞納しようが関係ないからです。
しかし、サブリース契約には以下のリスクがあります。
- 賃料設定が所有者ではなく業者に決定権がある
- サブリース会社が倒産してしまうと家賃が支払われない
- 手数料が高めである
前項と同じく、このようなリスクを説明しないことは明らかに説明不足といえます。
金利上昇リスク
不動産投資を行う上で、金利上昇もリスクになり得ます。例えば、1%の金利で1億円借り入れしていた場合、金利が3%にあがると年間で120万も増えてしまうのです。この金利上昇のリスクもしっかり加味した上でのローン計画説明や金利上昇時の対応に関するアドバイスができる不動産投資会社を選ぶようにしましょう。
売却時のリスク
不動産投資は売却時も以下のようなリスクがあります。
- 売却に時間がかかる可能性
- 売却ができない可能性
- 売却時の諸費用、場合によって税金がかかる
不動産は高額な商品なので、売却にはどうしても時間がかかるケースがあります。また、売却時には仲介手数料をはじめとする諸費用や、高く売れた場合には税金がかかります。
だからこそ、不動産投資のメインは家賃収入になりますが、「必ず高値で『売却』が可能です」と簡単にいう不動産投資会社も信用できないでしょう。
関連記事:マンション売却の際に知っておくべき6大リスクと対処法
天災地変のリスク
不動産は実物資産なので、天災地変リスクはダイレクトに影響を受けます。たとえば、地震や浸水による建物の損傷が起きれば、その不動産の資産価値は落ちるでしょう。天災地変は自分ではコントロールできませんが、ハザードマップや火災・地震保険の保障内容は自分で確認できます。
また、リスクがあるにも関わらず「保険に入れば絶対に問題はない」などという不動産投資会社は信用できません。保険内容によっては全てをカバーできるわけではないですし、仮にカバーできたとしても「補修に要する時間」などは、不動産投資をする上でリスクになるからです。
このように、不動産投資に関するさまざまなリスクについてきちんと説明をし、リスク発生時にパートナー(企業)としてどのような対応策を取ってくれるのか説明ができるかどうかが優良な不動産投資会社を選ぶポイントになります。
関連記事:不動産投資で地震がリスクって、本当?
不動産投資会社を選ぶ際に重視する点〜想定シミュレーションの現実性の見極め〜
不動産投資会社選びで失敗しないためのポイントの2つ目は、想定シミュレーションが現実的かどうか?を見極めるという点であり、この点は前項の「空室・家賃下落リスク」に関連してくる項目です。想定シミュレーションについては、以下の点を知っておきましょう。
- そもそもシミュレーションとは?
- 空室リスクを織り込んでいるか?
- 家賃下落率を織り込んでいるか?
- 突発的な支出を織り込んでいるか?
要するに、投資物件の収益シミュレーションをするときに、空室リスク・家賃下落率・突発的な支出という3点を織り込んでいるかどうかを見極めるということです。
そもそもシミュレーションとは?
ここでいうシミュレーションとは、キャッシュフローシミュレーションのことをいいます。キャッシュフローシミュレーションとは、10~30年という長期スパンでキャッシュフロー、つまり収入と支出をシミュレーションすることです。
投資物件の収益性を測る指標としては「利回り」が有名ですが、利回りは「物件を取得するための費用を何年で回収できるのか?」を数値化した指標に過ぎません。一方、キャッシュフローシミュレーションであれば、実際のお金の流れが見えるので、手元にいくらのお金が残るのか?現実的な数値が具体的に見えてきます。
関連記事:不動産投資は「キャッシュフロー」が成功の鍵!重要性を徹底解説
空室リスクを織り込んでいるか?
そんなシミュレーションをするときには空室リスクを織り込むがことが重要です。空室リスクを完全に読むことはできませんが、たとえば不動産投資会社のノウハウから「2年間で1.5か月空室になる」と予測したとします。
その場合、「-1.5か月÷24カ月(2年間)=93.75%」まで年間家賃収入は下がるということです。つまり、このケースの場合は上述したシミュレーションにおいて、「満室時の家賃収入×93.75%」で収入をシミュレーションする必要があります。
この空室リスクを織り込まずに満室稼働の状態で数十年とシミュレーションをした場合、少しでも空室の期間が発生すれば、予想していた収益にならないのです。仮に、不動産会社が提示したシミュレーションに空室率が織り込んであった場合でも、その不動産会社の入居率と比例した値なのか等、空室率を設定した根拠をヒアリングしましょう。
空室のリスクについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
家賃下落を織り込んでいるか?
同じく家賃下落も織り込む必要があります。家賃下落率も空室リスクと同じく正確に予測することはできません。ただ、空室率と同じく不動産投資会社のノウハウから下落率を予測することは可能ですし、周辺物件を調べることで、ある程度の下落率を予測できます。
周辺物件で下落率を予測
まず、購入を検討している投資物件の周辺で、同じような条件の物件をピックアップします。その後、築年数ごとにその物件を並べて家賃を算出していきます。
そうすれば築年数による家賃相場が分かるので、家賃下落率も分かってくるというわけです。ただし、その下落率はあくまで予測であることは認識しておきましょう。また不動産会社が家賃下落を最小に防ぐためにどのような努力をしているかまで聞いてみましょう。
下落率を読み込んだシミュレーション
前項のように家賃下落率を算出したら、空室率と同じようにシミュレーションに織り込みます。仮に、「年間1%家賃が下落する」のであれば、投資1年目の家賃収入と投資11年目の家賃収入には、10%の差がないとおかしいことになります。
このように、空室率と家賃下落率を織り込み、10年~30年スパンという長期でシミュレーションすることによって、将来に渡っても収益をあげやすい投資物件を見極められるというわけです。
逆にいうと、シミュレーションで下落率を一切織り込んでいないシミュレーションは非現実的なので、そのようなシミュレーションをする不動産会社は信用できないといえるでしょう。
その他支出を織り込んでいるか?
また、不動産投資には他に以下のように突発的な支出が発生します。この支出をきちんと織り込んでいるかどうかも重要なポイントです。そのため、シミュレーションには空室・家賃下落と一緒に、以下の支出を織り込んでいるかチェックしましょう。
- 賃借人が退去する際の原状回復費用
- 専有部の設備修理・交換費用
- 共用部の修繕費用(一棟投資の場合)
プロパティエージェントでは、家賃下落や空室発生を加味した細かいシミュレーションを行っています。他社ではずっと同じ家賃、同じ修繕金でシミュレーションをしているなど、現実的でない数値を出している会社もあります。今回ご紹介したような細かい条件についてきちんと確認し、それについてしっかりと回答してくれるかどうかが不動産投資会社を見極めるコツとなります。
不動産投資会社を選ぶ際に重視する点〜実績や信用・リスク発生時の対応スピード~
不動産投資会社選びをする上で重要なポイントの3つ目は、実績や信用・リスク発生時の対応スピードを確認することです。そのためには、実績やリスク発生時の対応などの確認や、担当営業が決まっていて、困った際の窓口があるかどうかをチェックすることが重要になります。
担当営業が決まっているかどうか
担当営業が決まっているかどうかは、リスク発生時の対応スピードに関係してきます。というのも、不動産投資会社の中には、購入まではこの人、購入手続きはこの人…といったように、担当が変わるケースがあります。しかし、このような体制だと何か問題が発生したときの相談・対応スピードが遅くなってしまう場合があります。
たとえば、現在の担当者はAさんであり、物件の詳細に関して至急確認したいことが出てきたとします。そのとき、Aさんに連絡してすぐに返答が欲しいものの、担当者がコロコロ変わると「その件は担当のBから折り返しご連絡させます」ということにもなりかねません。
このように、対応にスピード感がないと重要なリスクに対応できずに、そのリスクが拡大する可能性もあります。そのため、基本的には1人の営業担当者が決まっており、その人とずっとやり取りするという体制が理想といえます。
不動産投資会社を選ぶ際に重視する点〜おまけ:あやしい営業トーク集〜
前項までで、不動産投資会社選びで失敗しない3大重視ポイントを解説しました。さいごに、おまけとして「あやしい営業トーク集」を紹介します。以下に、注意すべきトークと、なぜ注意すべきかをご紹介するので、不動産投資会社と会話する際に注意しましょう。
- 絶対に値上がりします! ⇒「絶対」はありません
- 必ず売れます! ⇒「必ず」はありません
- 手持ち資金がなくても大丈夫です! ⇒空室や金利上昇の際のリスクが大きくなります
- 早くしないとほかの人が契約します! ⇒煽っているだけの可能性があります
- 今買わないと(売らないと)損します! ⇒先のことは誰にも読めません
参考にしたいお客様の声
ここでは、プロパティエージェントのセミナー参加者様やお客様の声をまとめました。是非参考にしてみてください。
<セミナー参加者の声>
- メリットだけではなく、リスク中心の内容で、信頼して聞くことができた。
- 単刀直入な言い回しでとても分かりやすく、不動産投資の仕組みも理解できた。
- オーナーの声が聞けて安心と信頼感が増した。
- メリットばかりの他社セミナーとは異なり、リスクについて話していただき、不安な部分を払拭できたのは良かった
<実オーナー様の声>
- 空室になる1ヵ月前にすぐに告知連絡をくれるフローだから口座にお金が用意できた。
- 空室が起きても空室期間中は週1で内見の予約数、申込数などこまめな連絡をくれ安心。
- 空室=プロパティエージェントにも賃貸手数料がはいらない仕組みだから長期間の空室は滅多にない。
- 家賃下落=プロパティエージェントの手数料取分(家賃の5%)も減るから努力してくれる。
- 東日本大震災が起きた際にすぐに建物管理の社員が現場へかけつけ、物件の状況など報告をしてくれた
まとめ
このように、不動産投資会社を見極めるためには、ゆうちょ銀行がしたような「リスク隠し」をしていないかどうかを見極める必要があります。リスクをきちんと説明するかはもちろん、より正確な、現実的なシミュレーションを行っているかも重要です。そして、口コミも合わせて確認することで、本当に信頼できる不動産投資会社かどうか見極めることができるでしょう。
「騙された!」と被害に合う前に、自分でも見極める力をつけておくことをおすすめいたします。
関連記事
記事検索
Search
記事カテゴリ
Categories
記事タグ
Tags
- メリット
- 税金
- サブリース
- 立地
- 公示地価
- 不動産投資
- 再開発
- 法人化
- IRR
- 固定資産税
- アパート
- 資産運用
- ワンルームマンション投資
- 分散投資
- 不動産取得税
- マンション
- 入居率
- ROI
- 区分マンション
- セミナー
- 地方
- シミュレーション
- 購入
- 競売物件
- 新築マンション投資
- 都心
- 貯金
- 控除
- 不動産投資ローン
- 投資
- 賃貸管理
- デメリット
- 火災保険
- 住宅ローン
- 医師
- 建物管理
- 金融商品
- 不動産投資セミナー
- 修繕積立金
- FP
- 成功
- 確定申告
- 収益物件
- 東京23区
- 公務員
- ローン
- 空室
- 年末調整
- 新耐震基準
- 不動産投資市場
- サラリーマン
- 国税庁
- 不動産会社
- 物件選び
- 不動産クラウドファンディング
- 利回り
- 不労所得
- オーナー
- 贈与税
- 不動産特定共同事業法
- 保険
- 団体信用生命保険
- 小口化
- 相続税
- 新築ワンルームマンション投資
- 節税
- 金利
- 初心者
- 中古マンション投資
- 副業
- リスク
- 人気物件
- 減価償却
- NPV
- オーナーチェンジ
- 家賃収入
- 失敗
- 耐用年数
- 投資用マンション
- FIRE
- 限定情報配信中
-
リスク対策法、節税・確定申告の方法など不動産投資に役立つ情報を配信中
お得な限定情報を受け取る
- LINE@はじめました
-
運営会社
Company