【 目次 】
ここ1年の間に話題になった「マイナス金利」という言葉ですが、不動産投資にどのような影響を与えるのでしょうか?今回はまず、マイナス金利についてイチからおさらいし、不動産投資との関係性について解説します。
マイナス金利とは?
そもそも、マイナス金利とはどのような政策なのでしょうか?マイナス金利について理解するためには、最初に金融機関の業務を把握しておく必要があります。
金融機関の業務
銀行や信用金庫などの金融機関は、預金、貸付、為替という業務を中心に行なっています。
預金は個人や法人の資産を管理する業務、貸付は個人や法人に資金を貸し出す業務、為替は振り込みや送金で債権や債務の決済を行う業務です。
金融機関は上記3つの業務を行う一方で、各金融機関は日本銀行にも口座を持っており、日本銀行にお金を預けています。この預金のことを日銀当座預金と呼びます。
これは、準備預金制度と呼ばれ、預金者から受け入れている預金額の一定比率(=準備率)以上の金額を日本銀行に預け入れることが義務付けられています。
マイナス金利政策というのは、この日銀当座預金の一部について適用されるもので、適用された分の金額については金利が-0.1%となります。
従来の日銀当座預金の内訳
日銀当座預金のうち、準備率から算出された所要準備額は無利息で預け入れられることになります。
この金額を法定準備預金額と呼びます。
一方で、法定準備預金額を超えた金額は超過準備額とよばれ、従来の仕組みであれば超過準備額には0.1%の利息が付いていました。
すなわち、金融機関は日本銀行に多くのお金を預けておくだけで利息を受け取ることができたのです。
マイナス金利政策における日銀当座預金の内訳
マイナス金利政策を導入するにあたり、日銀当座預金に新しい分類がなされます。
日銀当座預金の内訳を基礎残高、マクロ加算残高、政策金利残高と分類し、マイナス金利になるのは政策金利残高に該当する金額です。
以下で、それぞれの分類について説明します。
基礎残高
各金融機関の日本銀行当座預金残高のうち、2015年1月~12月積み期間(基準期間)における平均残高までの部分を指し、全体で約210兆円程度と算出されています。基礎残高には0.1%の金利が適用されます。
マクロ加算残高
マクロ加算残高は、
・所要準備額に相当する残高
・金融機関が貸出支援基金および被災地金融機関支援オペにより資金供給を受けている場合には、その残高に対応する金額
・マクロ加算額(日銀当座預金残高がマクロ的に増加することを勘案して適宜加算していく額)
の三項目の合計額によって計算され、全体で50兆円程度のオーダーと算出されています。マクロ加算残高はゼロ金利です。
政策金利残高
日銀当預金残高のうち、基礎残高とマクロ加算残高を上回る残りの部分が政策金利残高になります。政策金利残高にはマイナス金利が適用され、-0.1%となります。
このように、マイナス金利というのは金融機関と日本銀行間の話なので、国民に対して直接的に関わってくることはありません。
しかし、社会全体でみるとマイナス金利には影響力があるという見解があります。
マイナス金利が社会に与える影響
ではマイナス金利政策によって、社会はどのような影響を受けるのでしょうか?
これについては、金融機関の立場で考えることで理解を深めることが可能です。
従来であれば、金融機関は日本銀行にお金を預けていれば金利も0.1%あり、資金運用の手段として利用することができていました。
しかし、マイナス金利が適用されると、金融機関としては、日本銀行に多くのお金を預けているだけで利息を支払わなければならないという状態になってしまうわけです。
すなわち、金融機関としては日本銀行にとって代わるような、新しい運用先を見つけなければならないということです。
したがって、今まで日本銀行に預けていたお金を運用していくために、金利を下げることで融資の敷居を低くしていくのではないか、という見解がなされています。
ちなみに2017年5月現在の金利ですが、金融緩和によって低金利が維持されており、今後とも住宅ローンをはじめとしたほとんどの金利において低金利状態が続いていく見通しです。
金利と投資にはどのような関係が?
ではここで、市場金利と投資にはどのような関係があるのかを、投資の種類ごとに解説します。
ただし、これらの解説はあくまで一般的な理論に過ぎず、各項目でみると一部ではそれに反する方向に進んでいくこともあるので注意してください。
国債価格
一般に、金利が上がると国債価格は下がるといわれています。
例えば、現時点で100円の価値のある金利1%の国債を所持しているとしましょう。
このとき、国債を持っている人は満期に達するまで、毎年1円の利息を受け取ることができます。
ここで、市場金利が上昇して、新たに売りに出た100円の国債の金利が2%に上昇した場合を考えましょう。
この場合、今所持している金利1%の国債は、新たに売りに出た金利2%の国債に比べて価値が低いことは明らかです。従って、当初の価格である100円では売れない可能性が高くなります。したがって、この国債をどうしても売りたい場合には100円を割る価格で売却するしかありません。
以上のような理由で、「金利が上がると国債価格は下がる」といわれています。逆に、金利が下がると国債価格が上がるというのも一般的に言われています。
生命保険料
一般に、金利が上昇するにつれて生命保険料は下がるといわれています。
これを説明するにあたり、まずは予定利率という指標を説明する必要があります。
予定利率とは、契約者に約束される運用利回りのことを指します。
他の投資商品における利回りに当たる数値といえるでしょう。
すなわち、予定利率が高い保険ほど返礼率が高い、つまり投資商品としての価値が高いといえます。
また、予定利率が高いほど保険料が下がるという傾向があります。
予定利率が高くなると、それだけ運用で利益を発生させることができる見込みも立ちます。
したがって、保険料を安くしても採算がとれるようになるというロジックです。
この予定利率は市場金利と連動しています。したがって、
①市場金利が上がる
②予定利率が上がる
③保険会社が運用で利益を発生させることができる見込みが立つ
④保険料が下がる
という考え方から、上記のような傾向がみられるといわれています。
株価
原則として、金利の上昇は株価の下落を引き起こすとされています。
金利が上昇すると、金融機関からの借り入れに対して返済額が多くなります。
したがって、企業は金融機関からの融資を控えるようになり、その結果設備投資の縮小あるいは停滞を引き起こします。
これは、企業業績の低迷や経済全体の景気の落ち込みにもつながるため、それに伴って株価が低迷することになります。
不動産投資の敷居
最後に市場金利と不動産投資の関係です。
一般に、住宅ローンなどの融資における金利が低いほど不動産投資への敷居も低くなります。
というのも、金利が低ければ低いほど、ローンの元本返済に加えて支払わなければならない利息の額が安くなるからです。
非常にシンプルな例で、金利の影響の程度を把握してみましょう。
例えば、2,000万円の物件をフルローンで購入した場合を考えます。
金利は、0.8%と2.0%の場合でシミュレーションしてみましょう。
このとき、不動産投資ローンの返済額は以下のようになります。
金利0.8% | 金利2.0% | |
ローン元本 | ¥20,000,000 | ¥20,000,000 |
利息 | ¥160,000 | ¥400,000 |
合計返済額 | ¥20,160,000 | ¥20,400,000 |
表1 金利0.8%と2.0%の場合のシミュレーション
この結果から見ると、金利が0.8%と2.0%では返済額に24万円の差が出ることがわかります。
このシミュレーションでは2,000万円の融資という設定にしましたが、融資の額が増えるにつれて返済額の差も当然大きくなります。
先述の通りにマイナス金利の影響でローンの金利が下がった場合には、このように不動産投資に追い風となるような影響を与えると考えられます。
不動産投資ローンについてさらに詳しく知りたい方は、下記リンクもご参照ください。
関連記事:不動産投資ローンって何?不動産投資ローンの解説と実例も踏まえて解説します。
以上の項目をまとめたのが下の表になります。
金利上昇に伴って | 金利下落に伴って | |
国債価格 | 下落 | 上昇 |
生命保険料 | 下落 | 上昇 |
株価 | 下落 | 上昇 |
不動産投資の敷居 | 高くなる | 低くなる |
表 2 金利の高低が投資に与える影響
不動産投資をするなら今がチャンス!
ここまで、金利や投資について解説してきましたが、結論から言うと今が不動産投資を始める絶好のチャンスであるといえます。
先にも述べた通り、昨今の日本はマイナス金利によって不動産投資ローン金利が低い状態にあります。
しかし、低い状態にあるのは今のうちで、今後は上昇していくという見解がなされています。
したがって、今不動産投資ローンを組めば返済額も最低水準で収めることができるため、効率よく不動産投資を行うことができるということになります。
仮に変動型のローンを組んだとしても、今後の金利上昇が急な速度で進むわけではないので、高効率で資金運用できることが見込まれます。
加えて、日本政府はインフレ目標というものを掲げており、今後の政策がうまくいけばインフレに向かうことになります。
インフレが起こるということは、将来的に家賃が上昇するということになるので、今不動産投資を始めておくと大きな恩恵を受けられる可能性もあります。
以上のように、マイナス金利政策やインフレ目標など、現在の日銀の政策は不動産投資との相性が非常に良いといえるでしょう。
この、またとないチャンスを逃さないためにも、不動産投資に向けての取り組みをご検討されてはいかがでしょうか。
不動産投資について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
低金利時の不動産投資の注意点
先に述べたように、今が不動産投資を始めるチャンスであることは間違いないのですが、ひとつ注意していただきたいことがあります。
それは、不動産投資の好機であることにより、投資への人気が高まることによる物件価格の上昇です。
特に一等地や、単価の高いマンションなどは値上がりの幅が大きいので、値上がり幅の小さいワンルームマンションを投資物件に選ぶなど、しっかりと吟味した上で不動産投資を行うことが重要です。
まとめ
先述の通り、不動産投資を始めるには今が最高のタイミングです。
しかし、いきなり不動産投資を始めようと思っても、ノウハウがなければうまく進めることはできません。
新築の区分マンションへの投資に興味がある方は、ぜひ当社にご相談ください。
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