【 目次 】
どのような投資であってもリスクをゼロにすることはできませんが、「事前に勉強していれば防げたのに・・・」というような失敗は避けたいものです。必要な勉強を怠り、知識が不足したまま不動産投資を行った場合、どのような失敗を招いてしまうのか。今回はこの点についてご説明します。
不動産投資に失敗してしまう主な原因
不動産投資というと、失敗しやすい・リスクが大きいなどといったイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。事実、どんな投資にも失敗のリスクはついて回ります。しかし不動産投資における失敗例の多くは、知識や認識の不足から生じています。このような失敗は、しっかりと知識を身につけたりリサーチを重ねたりすることで避けることができます。
失敗の具体的な原因としては、不動産投資に関する基本的な知識が不足している場合や、不動産投資の枠組みは理解していても細かな「お金」に関する知識が不足している場合、また社会全体の動向や経済・景気の動向について理解できていない場合などが考えらえます。
以下、それぞれの原因ごとに具体例を交えながら解説していきます。
不動産投資に関する基礎知識の不足
まず、不動産投資に関する基礎的な知識が不足している場合について考えてみます。
不動産投資に関する基礎知識とは何か
「不動産投資の基礎知識」と一口に言っても様々なものがありますが、代表例として「収益構造」と「リスクとデメリット」について解説します。
- 不動産投資の収益構造
不動産投資で得る利益には、「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」の二種類があります。
一般的に「インカムゲイン」とは資産の運用益を指し、株式投資であれば配当金、投資信託であれば分配金と呼ばれます。不動産投資では、家賃収入がインカムゲインにあたります。
一方、「キャピタルゲイン」とは資産の売却益を指し、保有する資産の価格が上昇することによって得られる利益です。ここで言う資産とは株式などの有価証券から絵画などまで様々な資産を含んでいます。不動産投資では、安い価格で物件を購入し、値上がりしたときに売却することで売却益を得れば、これがキャピタルゲインとなります。反対に、購入時よりも価格が下がったところで資産を売却すれば損失が出てしまいます。これをキャピタルロスと呼びます。
現在の不動産投資ではインカムゲインが基本的な収益源となっています。とはいえ、継続的にインカムゲインとして利益を得つつ、価値が上昇したら売却してキャピタルゲインを得るといったように、両者をうまく組み合わせた投資を行うことが重要です。
- 不動産投資のデメリットとリスク
不動産投資のデメリットやリスクとして、まず「空室リスク」が挙げられます。前述の通り、不動産投資の主な収益は家賃収入(インカムゲイン)から生まれます。どんなに良い条件の物件を購入できたとしても、入居者がいなければ家賃収入を得ることができず、最終的に経営が赤字になってしまうことも考えられます。
二つ目に、投資を決意してから実際に運用を開始するまでに時間がかかり、また資産としての「流動性」も低いという点が挙げられます。例えば株式投資であれば、口座開設さえ行ってしまえば簡単に取り引きを始めることができますが、不動産投資を始めるにあたっては、購入する物件の選択から不動産投資ローンの契約など、様々な準備が必要であり、それだけ時間もかかります。また、数日程度で売却・現金化ができる株式投資と異なり、不動産は売却する際にも1ヶ月程度の時間がかかります。その資産がどれくらい容易に現金化できるかという特性を「流動性」と呼びますが、不動産は流動性が非常に低いのです。
三つ目に、「災害リスク」があります。不動産投資において気をつけるべき主な災害は地震と火災です。日本は地震大国とも言われるほど地震の多い国ですので、地震によって物件が損害を受けてしまうことも考えられます。部分的な損壊ならまだしも、建物全体の構造に影響が及ぶなどすれば、大きな損失となります。また火災についていえば、入居者が起こした火災だけでなく、周囲の建物で生じた火災による延焼も考えられます。
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これらの知識不足はどのような失敗を招くのか
上記で紹介したような知識を持たないまま投資を行うことでどのような失敗が考えられるのでしょうか。
例として、空室リスクについて考えてみましょう。
不動産物件では、ある程度の空室状態は避けにくく、長く満室を維持できることは稀だと言えます。空室リスクを考慮せず、常に満室であることを前提として収支予測を立ててしまうと、実際の収支が事前の予測から大きく外れ、赤字になってしまうことが考えられます。収支予測を行う際には空室率を十分に考慮した上で計算しましょう。また物件の購入時点で、なるべく空室が発生しないような物件を選ぶことも大切です。
流動性についてはどうでしょうか。
不動産は流動性が低い資産であるということを知らない人は、「うまく運用ができなかったら売却してしまえば良い」と考えがちです。しかしこのような前提で投資を始めてしまうと、実際に売却をしたいと考えた時に思い通りに買い手が見つからず、また売却手続きにも予想外に長い時間がかかります。そのため、つい焦って売り急ぎますが、結果的に不利な条件で妥協せざるを得ない状況に陥ります。運用がうまくいかなくても、だからといって簡単に売却できるわけではない、ということを念頭におき、事前に入念な計画を立てておくことが必要です。
お金に関する知識不足
前項では、不動産投資に関する基礎知識が不足している場合にどのような失敗に繋がるかを解説しました。
しかしながら不動産投資を行うためには、「お金」に関する知識・理解を十分に持っていることも必要です。これは見落とされがちな点です。ここでは、「お金」に関して必要な知識の例を紹介します。
「お金」に関する知識とは何か
- ローンに関する知識
不動産投資は他の投資に比べ初期費用が大きくなりがちであるため、よほど自己資金がある方でない限り、不動産投資ローンを利用することが一般的です。
不動産投資ローンを利用することで、少ない資金でも高額の物件を購入できる(レバレッジを効かせられる)というメリットがあります。しかしその一方で、ローンの返済計画が甘ければ返済に支障をきたしてしまうリスクがありますし、また適切な返済計画を立てるためには、様々な金利パッケージの中から自分にあったものを選ぶといったことも必要となります。ローンに関する知識は大変重要なものです。
- 利回りに関する知識
これは投資全般に共通して言えることですが、運用時の「利回り」についての知識を持っておくことも非常に大切です。利回りとは元金に対する利益の割合を指します。不動産投資の場合は、物件の購入価格に対する年間の家賃収入の割合です。ただしこれは「表面利回り」と呼ばれるものであり、実際には必要経費などを差し引いて考える「実質利回り」という考え方も存在するため、両者を使い分ける必要があります。また実際の運用においては「表面利回り」よりも「実質利回り」が重要となるため、混同しないよう注意してください。
関連記事:不動産投資の「利回り」計算方法と平均相場とは?注意点も解説!
- 税金に関する知識
不動産投資は税金との戦いであるとも言われるほど、多くの種類の税金が関わってきます。固定資産税、都市計画税などに加え、不動産取得税や不動産登録免許税など、様々な税金が課されるため、事前に調べておく必要があることは言うまでもありません。
これらの知識不足はどのような失敗を招くのか
上記で紹介した「お金」に関する知識がないと、どのような失敗を招いてしまうでしょうか。
ローンに関して最も恐ろしいのは、やはり、返済ができなくなってしまうということでしょう。月々の返済額をよく考えないまま投資を行い、結果としてローン返済ができなくなってしまうと、最悪の場合、物件の任意売却や競売に繋がってしまいます。自身のローン内容を把握し、しっかりとした返済計画を立てておくことが重要です。また税金に関しては、どのような税金があり、それぞれどのくらいの額を課税されるのかということを知らないと、思わぬ支出となり、収支予測通りにいかなくなってしまうことも考えられます。まずは想定される課税額を十分に把握し、その上で控除を受けられるものについてはしっかりと手続きを行って控除を受けるということが大切です。
社会情勢や経済・景気動向に関する知識不足
最後にご紹介するのが、社会情勢や経済・景気動向に関する知識がどのように不動産投資に関係しているのかという点と、またそのような知識の不足によってどのような失敗を招いてしまうのかという点です。
社会情勢や経済・景気動向に関する知識とは何か
不動産投資は株式投資などと同様、経済や景気の動向の影響を受けることはいうまでもありませんが、一見すると経済ニュースには見えないような社会情勢からも、少なからぬ影響を受けることがあります。
一般的に景気が良くなれば、企業や個人にも資金に余裕が出てきますので、不動産投資を行う人が増えて不動産の価格は上昇しますし、反対に景気が悪くなれば価格は下落します。これは、誰もが着目する経済情勢だと言えます。
一方で、景気変動と比べるとつい見落としがちな社会情勢の変化としては、典型的には少子化に伴う人口減少が挙げられます。人口が減少すれば、それに伴って賃貸需要も低下することが予想されるため、不動産の価格は低下すると考えられます。
また、東京オリンピックの影響も見逃せません。東京オリンピックに向けてインフラの整備などが進み利便性が高まるということもあって、特に東京の湾岸エリアなどで地価が上昇しており、今後の動向が注目されています。
これらの知識不足はどのような失敗を招くのか
社会情勢や経済・景気の動向に関するニュースの多くは、不動産投資と直接的には関係ないように見えるため見落としがちですが、実はいろいろなところで繋がっています。
例えば、上述のように東京湾岸エリアの地価は上昇することが予測されていますが、オリンピックに伴うインフラ開発が湾岸エリアに集中していることや、それが投資用物件の価格にも影響を及ぼしていることを知らなければ、適切なタイミングで保有物件を売却することができず、結果的に損をしてしまうかもしれません。普段から社会情勢に対してアンテナを張り広く知っておくことが、不動産投資で失敗しないための大事な要素だと言えます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は、不動産投資に関する基礎知識、「お金」に関する知識、社会情勢や経済・景気動向に関する知識の3つの観点から、「不動産投資にはどのような知識が必要なのか」、また「知識不足によってどのような失敗に繋がるのか」を解説しました。不動産投資では様々な種類の知識を持っておくことが必要になってきます。不動産投資TIMESでは、他にも不動産投資に関することを様々な観点から解説していますので、ぜひ参考にしてください。
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