不動産投資が生命保険の代わりになる?不動産投資と生命保険を徹底比較

不動産投資が生命保険の代わりになる?不動産投資と生命保険を徹底比較

不動産投資と生命保険は一見全く別のもののように思えますが、不動産投資には生命保険としての役割が備わっているとも言われます。

今回は、不動産投資と生命保険を比較しつつ、両者の共通点や違いについて解説していきます。

なぜ不動産投資が生命保険の代わりになるの?

不動産投資と生命保険は全く違うものと思っている人が大多数でしょう。しかし、不動産投資に生命保険の効果を期待している方がいるのは事実です。

なぜ不動産投資を生命保険として活用することができるのでしょうか。

不動産投資のために金融機関から融資を受ける際、団体信用生命保険に加入することができます。
この保険が生命保険と類似しているため、不動産投資を生命保険として活用する投資家がいるのです。

不動産投資に伴う団体信用生命保険と生命保険を比較しながら、以下に解説していきます。

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団体信用生命保険とは?

団体信用生命保険は以下のような特徴を持ちます。

  •  不動産購入時、金融機関から融資を受ける際に、加入を条件付けられていることが多い保険です。(融資実行後の中途加入はできません)
  • 万が一、ローンの契約者が死亡または高度障害の状態になってしまったとき、ローンの残債を代理弁済する(上限一億円)という保険になります。
  •  保障期間は原則ローン返済期間です。

つまり、万が一ローン契約者が死亡または重度障害の状態になった場合、残された家族にはローンが返済された資産が残ることとなります。

そして、残された家族は毎月の不動産収入や資産売却により、お金を得ることができます。

生命保険にはどのような種類があるの?

一方、団体信用生命保険と比較される生命保険にはどのような種類があるのでしょうか。生命保険は定期保険と終身保険と養老保険の3つに大きく分かれます。

表1:団体信用生命保険と比較される生命保険の種類

  満期 満期保険金 解約返戻金
定期保険 × ×
終身保険 × ×
養老保険
  •  定期保険
    満期が設定されており、契約した期間のみ保障されます。例えば満期が60歳の時、60歳を過ぎてから死亡した場合は保険が適用されません。満期保険金や解約返戻金がない掛け捨て型となりますが、その分、保険料は安く済みます。保険期間の更新や他の保険への乗り換えも可能です。
  • 終身保険
    満期がなく、保障が一生涯続きます。また保障が不要になれば、中途解約することで解約返戻金が支払われます。解約返戻金は年数が経過するほど返戻率が高くなります。そのため、保険料振り込み期間が終了した後、解約返戻金が累計保険料を超えることがあります。
  •  養老保険
    満期が設定されており、保険期間の期間中のみ保障がなされます。満期時に無事に生存していた場合、死亡保険金と同額の満期保険金が支給されます。また解約返戻金もあります。しかし満期保険金と解約返戻金がある分、保険料は割高となります。

生命保険には複数の種類があることがわかりました。以下では、不動産投資と生命保険を実際に比較していきます。

不動産投資と生命保険を徹底比較!

不動産投資を行う際に加入する団体信用生命保険は、死亡や重度障害の状態になるなど、万が一のときに、保障を行ってくれる点で生命保険と類似していることがわかりました。

不動産投資と生命保険の定期保険、終身保険、養老保険を比較し、不動産投資を生命保険の代わりにすることのメリットを確認していきましょう。

不動産投資と定期保険

まずは不動産投資を定期保険と比較してみましょう。

  • 不動産投資:
    2,500万円の部屋を35年ローンで購入したと仮定します。
    ローン返済前の毎月の不動産収入は0円(家賃9万円-ローン6万5千円-団体信用生命信用保険料5,000円-管理費・管理委託手数料2万円)です。
    一方、ローン返済後の毎月の不動産収入は7万円(家賃9万円-管理費・管理委託手数料2万円)に増えます。
  • 定期保険:
    毎月3,000円の保険料で20年間保障、死亡保険金2,000万円の定期保険を仮定します。20年間の累計保険料は72万円(3万円×240ヶ月)となります。

団体信用生命保険の保険料は毎月5千円から1万円程度が必要ですが、不動産の賃貸収入から差し引かれるので、実質無料となります。そのため、定期保険と比べ保険料を抑えることができます。表2は定期保険と不動産投資を比較した表です。表2からわかる不動産投資のメリットを解説していきます。

表2:定期保険と不動産投資の比較

定期保険  不動産投資 
20年間の保険料 72万円 35年間の保険料 実質0円
10年後に死亡した場合の保険金 2,000万円 死亡した場合の保険金 0〜2,500万円
(ローン残債)
死亡した後 0円 死亡した後 月々7万円(家賃)
or 1,000万円(資産売却)
死亡しなかった場合 0円 死亡しなかった場合 ローン返済後の家賃
or 1,000万円(資産売却)
  • 保険の契約者が死亡した後も不動産投資の場合は不動産収入が毎月入ります。ローンが返済された状況になるので、不動産収入は高くなります。死後のことを考えると、定期保険より多くのお金を得ることができます。
  • 定期保険は契約した期間中のみ保障が行われるので、契約期間を過ぎてからの死亡では保険金が受け取れないリスクがあります。
  • 不動産投資の場合、契約者が死亡しなかった場合も、ローン返済後は継続的に家賃が得られるうえに、資産を売却することでお金を得ることもできます。

団体信用生命保険と終身保険

  • 不動産投資:
    不動産投資は定期保険と比較したときと同じ条件と仮定します。
  • 終身保険:
    現在30歳の人が、毎月1万8千円の保険料で、保険料振り込み期間65歳までの終身保険を契約したと仮定します。死亡保険金は1,000万円です。保険料振り込み期間は35年となり、累計保険料は756万円(1万8千円×420ヶ月)となります。
    解約返戻金がありますので、保険の必要がないと判断した場合は780万円程度の解約返戻金を得ることができます。

表3:終身保険と不動産投資の比較

終身保険  不動産投資 
35年間の保険料 756万円 35年間の保険料 実質0円
死亡した場合の保険金 1,000万円 死亡した場合の保険金 0〜2,500万円
(ローン残債)
死亡した後 0円 死亡した後 月々7万円(家賃)
or 1,000万円(資産売却)
死亡しなかった場合 約780万円 死亡しなかった場合 ローン返済後の家賃
(解約返戻金) or 1,000万円(資産売却)

終身保険は保険料が割高ですが、不動産投資ならば先ほど説明したように保険料がほぼ無料となります。表3は終身保険と不動産投資を比較した表です。表3からわかる不動産投資のメリットを説明していきます。

  • 万が一、契約者が死亡してしまった場合、終身保険は死亡保険金1,000万円を受け取った後はお金が手に入りません。しかし不動産投資では、ローンの代理弁済のほか、死後も不動産収入でお金が手に入ります。
  •  死亡保険金が必要ないと判断した際、終身保険には解約返戻金が存在しますが、その額は不動産投資と比べ少ない額となります。解約返戻金は、約780万円ですが、不動産投資では、ローン返済後、10年で毎月の不動産収入7万円×12ヶ月×10年=840万円の利益が手に入ります。

関連記事:不動産投資での重要ワード「団体信用生命保険」とは?

不動産投資と養老保険

  • 不動産投資:定期保険、終身保険の条件と同じです。
  • 養老保険:毎月保険料2万8千円で現在30歳、60歳満了の養老保険を仮定します。
    死亡保険金は1,000万円です。満期保険金は死亡保険金と同額の1,000万円で、解約返戻金もあります。

表4:養老保険と不動産投資の比較

養老保険  不動産投資 
30年間の保険料 1,008万円 35年間の保険料 実質0円
死亡した場合の保険金 1,000万円 死亡した場合の保険金 0〜2,500万円
(ローン残債)
死亡した後 0円 死亡した後 月々7万円(家賃)
or 1,000万円(資産売却)
死亡しなかった場合 1,000万円 死亡しなかった場合 ローン返済後の家賃
(満期保険金) or 1,000万円(資産売却)

不動産投資は養老保険と比べ、圧倒的に保険料が安く済みます。表4は養老保険と不動産投資を比較した表になります。養老保険と比較した不動産投資のメリットを説明していきます。

  •  定期保険、終身保険と比較した時と同様、不動産投資は死亡後も不動産収入が手に入ります。

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不動産投資を始めたら生命保険は入らなくていいの?

不動産投資と生命保険を比較した結果からわかるように、不動産投資には多くのメリットがあるとわかりました。

しかし、不動産投資が完全に生命保険より優れた備えであるとは言えません。たしかに不動産投資にはメリットが多くありますが、リスクもあるからです。不動産投資を生命保険の代わりとする際のリスクを説明していきます。

  •  団体信用生命保険の保険料が支払われない状況
    契約者が病気や事故にあい就業不能状態になったが、死亡や所定の高度障害でない時、団体信用生命保険の保険金が支払われないことがあります。
  •  不動産収入が手に入らない場合がある
    不動産であるため、空室のリスクは常に付きまといます。所有物件が空室の場合、不動産投資を生命保険の代わりとして使うメリットは大きく失われてしまう可能性があります。保険料は不動産収入から差し引くことで、実質無料でした。しかし、不動産収入が手に入らないと、保険料は1万円から2万円にもなります。そうなれば、生命保険より不動産投資の保険料が高くなってしまいます。また所有物件が空室の場合、死後も残された家族に定常的な家賃収入を与えるというメリットを享受できない可能性が出てきます。それどころか、管理費や管理委託手数料で死亡後の不動産収入が赤字になってしまうと、かえって家族に負担を残すことにもなりかねません。
  • 資産売却がうまくいかない可能性
    ローンを完済する頃には、所有物件の築年数が古くなり、売却額が極端に少なくなる可能性や、買い手がなかなか現れず、売却時期が遅れるなどのリスクもあります。物件によってはなかなか買い手を見つけられず、生命保険ほど迅速な現金の獲得を望めないこともあります。

以上のように、不動産投資を生命保険の代わりにすることにはリスクが伴われることがわかりました。だからといって、不動産投資より生命保険の方がよいのだと短絡に考えるのもまた誤りです。

不動産投資と生命保険を併用することで、双方の長所を適切に利用するのが最も賢い運用法です。

団体信用生命保険が適用されない場合や不動産収入が手に入らないというリスクに備え、それに適した生命保険に加入しておくことを検討しましょう。

例えば、終身保険と不動産投資、両方に加入したとしましょう。このとき、団体信用生命保険では保障されない病気にかかり就業不能になったとしても、終身保険により保障が行われる可能性があります。

また所有物件の売却時期が遅れるなどの事態が発生し、お金が手に入らないとき、終身保険ならば解約返戻金があるため、すぐにお金を手に入れることができます。

不動産投資を行うから生命保険に入らなくていいというわけでなく、不動産投資をよりうまく活用するために生命保険に加入するという考えが、結果的にリスク回避に繋がるのです。

まとめ

以上のように、不動産投資は保険料の安い生命保険として活用することができます。不動産投資に伴う団体信用生命保険には多くのメリットがありますが、一方でリスクも付きまといます。

空室や売却の遅れによる現金化の困難、あるいは保障範囲外の疾病・障害などのリスクは、逆に生命保険加入によって回避できます。それぞれの長短とリスクを把握したうえで、生命保険としての不動産投資の活用を考えてみてはいかがでしょうか。

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