オリンピック後の不動産価格はどうなった?市場変化からみる不動産投資の可能性

東京23区のマンション価格は、オリンピック開催後、そしてコロナ禍においても上昇しています。特に、東京オリンピックの選手村として利用された晴美フラッグは購入希望者が多数います。

注目が集まるオリンピック開催後の不動産ですが、実はオリンピック開催前、不動産業界である噂があったのをご存じでしょうか。

それは、
東京オリンピック終了とともに首都圏の不動産価格が下落するというものです。

果たして、この噂の真偽はどうだったのでしょうか。

今回は、過去に各国で開催されたオリンピックにおける、開催国のその後の経済動向や不動産価格のデータと、最新の不動産のマーケットデータをもとに東京オリンピックが不動産市場に与えた影響の振り返りと、今後の動向を予測していきます。

コロナ禍による不況が続く今、好調に推移している不動産投資のカテゴリーもご紹介しますので、是非最後までお読みください。

不動産投資のご相談・お問い合わせで「不動産投資の基本がわかる書籍」等プレゼント!

世界における過去の「オリンピック開催後」の経済影響

まずは、過去のオリンピック開催国において、オリンピックが開催地にどういった経済影響をもたらしたか確認していきましょう。

みずほ証券総合研究所の2014年7月24日のレポート「オリンピック経済効果シリーズ①」によると、
1972年のミュンヘンオリンピック以降、
リーマンショックの影響があった2012年のロンドンオリンピックを除き、ほかすべての開催国のGDP成長率が開催10年前~6年前の成長トレンドより向上する結果となりました。

出典:みずほ総合研究所「オリンピック経済効果シリーズ①」

過去オリンピック開催国でGDP成長率がダウンしたロンドン以外は、軒並み上昇。

※ロンドンはオリンピックではなく、リーマンショックの影響

この成長トレンドの上昇は開催後も中期に渡って続いており、オリンピックの開催は開催国のGDP成長を長期にわたって促進させる効果があると言えそうです。

では、なぜオリンピックが経済に好影響を与えるのでしょうか。

主な原因として、以下のものが挙げられます。

開催都市周辺の大規模な再開発
開催国であることが決まった後、開催都市周辺では大規模な再開発が行われます。
競技場や選手村の開発やインフラの整備により、建築関連の雇用が生まれ、経済が活性化します。

消費の促進や、雇用の増加
オリンピック関連のスポンサーによる各種広告宣伝費が発生することで、広告業界だけでなく小売業界の消費も促進されます。
開催期間中には世界中から観客が集まり、開催都市における宿泊や飲食で地域経済に大きな雇用をもたらします。

開催後も経済の成長が続く
開催後においては、再開発により整備されたインフラがその後の経済活動の下支えとなること、オリンピックで上がった知名度でインバウンド顧客を取り込むことで、経済の成長が緩やかになりながらも続きます。

関西大学の宮本勝浩名誉教授が推定したところによると、東京五輪・パラリンピックの経済効果は約6兆1442億円であり、このうち大会開催前に新国立競技場、選手村、仮設施設の建設、大会関係交通インフラ整備費、バリアフリー対策費などで約3兆2698億円の経済効果がすでに発生していると考えられるとのことでした。
東京オリンピックは無観客開催となったため、オリンピックによる特需をすべて受けることができたわけではありませんが、再開発やインフラ整備における好影響は限定的ながらもあると言えます。

出典:東京五輪パラ経済効果6兆円、1年延期で計画より大幅減 関大宮本教授が推定 – 東京オリンピック2020 : 日刊スポーツ (nikkansports.com)

世界における過去の「オリンピック開催後」の不動産価格推移

GDP成長率に続いて、オリンピック開催国において建設投資や不動産価格がどのように変動したのかを確認しましょう。

建設投資

まずは建設投資です。

みずほ証券総合研究所の2018年7月10日のレポート「不動産市場は転換点にあるのか?(P40参照)」では、ロンドン大会とその前のスペイン(バルセロナ)、アメリカ(アトランタ)、オーストラリア(シドニー)、ギリシャ(アテネ)、中国(北京)の5大会含む計6大会において、オリンピック開催後に建設に関する投資が増加したのはアメリカ(アトランタ)、中国(北京)、イギリス(ロンドン)の3大会でした。

出典:みずほ総合研究所「不動産市場は転換点にあるのか?」

減少したスペイン(バルセロナ)、オーストラリア(シドニー)、ギリシャ(アテネ)のうち、スペインはヨーロッパ通貨危機、オーストラリアはITバブル崩壊という別要因による減少であり、これらの3か国においても、減少は一時的なものでその後の建設投資は中期的には成長していきました。

しかし、ギリシャに関しては世界的危機が起こっていない中で建設投資が減少しており、オリンピック関連の建設投資が急加速した後、軒並み終了したことによる反動と見られています。

不動産価格

次に不動産価格です。同じみずほ証券総合研究所のレポート「不動産市場は転換点にあるのか?(P41参照)」では、
ロンドン大会とその前の3つの夏季五輪の開催地(アトランタ、シドニー、アテネ)において、いずれも開催後に住宅価格が下落するケースはなく、好調に推移しました。

 

出典:みずほ総合研究所「不動産市場は転換点にあるのか?」

ロンドンにおいては、開催前の2008年に金融危機が起きたことで、開催前の住宅価格は落ち込んでいましたが、開催後は伸長しています。
その他の都市においても堅調な伸びを見せており、オリンピックは不動産価格に良い影響を与えてきたと言えます。

開催国となることが決まった時点で、既に都市として成熟していたロンドンは、同じく成熟した都市である東京と、とてもよく似ています。
また、直前の金融危機による経済成長の落ち込みも、東京オリンピック開催前におけるコロナ禍による経済の落ち込みに類似していることを考えると、ロンドンの不動産価格がオリンピック開催後も下落することなく上昇を続けている点は、投資家にとって好材料と言えるでしょう。

過去オリンピック開催国で建設投資が増加したのは6大会中、3大会。
減少した3大会の開催国でも、一時的な減少にとどまり、その後回復。

オリンピック開催前の金融危機で不動産価格が下がったロンドン大会を除き、その他開催国では不動産価格が上昇。

東京オリンピック後に景気が下がると噂される理由とは?

オリンピックが経済や不動産市場へ与える影響は好ましいものであるというデータがありながらも、
なぜ「東京オリンピック終了とともに首都圏の不動産価格が下落してしまう」と言う噂が出るに至ったのでしょうか。

その理由は、昭和39年の前東京オリンピックまで遡ります。

前東京オリンピック閉会後、昭和39年後半~40年にかけ、「昭和40年不況(別名:証券不況)」と呼ばれる不況が発生しました。
それまで高度経済成長を続けていた日本は、東京オリンピックや新幹線の整備などがもたらす好景気により、株式や国債などの証券市場が成長しました。「銀行よさようなら、証券よこんにちは」というフレーズが流行るほど投資マネーは加熱し、その加熱した経済を引き締めるべく、政府は金融引き締めを行いました。この金融引き締めによりさまざまな企業の資金繰りが厳しくなり、不況に突入しました。日本人の中にはいまだこの時の記憶が色濃く残っており、「オリンピック後の反動により不況に陥る」というイメージがあるのです。

また、その他の理由として、日本の人口が減少傾向にあることも挙げられます。確かに、少子高齢化が進む日本では人口が減少傾向にありますが、首都圏においては人口の流入が続いています。都心の人気エリアである港区や千代田区、中央区では2040年まで人口増加が継続すると予想されており、首都圏においてはそこまで悲観的に見る必要はないと言えます。

実際、昭和40年不況も一年で収束していることを考えると、
オリンピックにおける悪影響が出たとしても、その影響は小さいと考えられます。

噂を検証!2021年東京オリンピック開催後、不動産価格はどうなった?

それでは実際に、最近の不動産価格の推移を確認しながら、東京オリンピック開催が不動産価格にどのような影響をもたらしたのか確認していきましょう。

結論から言いますと、レジデンス(住宅)、オフィス、ホテル・商業用、倉庫のどの部門においても、東京オリンピック開催後の変化は特に見ることができませんでした。
むしろコロナウイルス流行に伴う影響やEC市場の拡大など、その他の要素がマーケットに影響をもたらしています。

順番に確認していきましょう。

レジデンス(住宅)

不況に強い住宅部門は、コロナ禍においても堅調な成長を続けています。

東日本レインズが発表した2021年7~9月期のマーケットサマリーによると、首都圏の中古マンションと中古戸建住宅はどちらも前年同期比で平均価格が上昇しました。

中古マンションでは、成約㎡単価は前年同期比で9.3%上昇。5 期連続で前年同期を上回っています(※1)。
成約価格も前年比で6.6%上昇。36 期連続で前年同期を上回る好調ぶりです。(※2)
中古戸建住宅においても、成約価格が前年同期比で9.4%上昇。5 期連続で前年同期を上回っています。

マンション・戸建て、どちらとも一度目の緊急事態宣言が発表された2020年第2四半期には価格が下落したものの、その後はまた上昇トレンドに入っており、東京オリンピックが終了した2021年第3Qについても上昇トレンドが継続しています。

(※1)

(※2)

出典:公益財団法人 東日本不動産流通機構「2021 年 7~9 月期の不動産流通市場の動向」サマリレポート

オフィス

オフィスについては、コロナ禍による企業の業績不振による倒産や、リモートワークの拡大の影響を受け、ダウントレンドが続いています。

三鬼商事株式会社が発表した「オフィスマーケットデータ」によると、東京ビジネス地区(千代田・中央・港・新宿・渋谷区)の2021年10月時の平均空室率は6.47%(前年同月比+2.54%)。依然として空室率は高い状況が続いています。1坪あたりの平均賃料も20,804円(前年同月比▲1,630円/坪)と下降基調であり、非常に厳しい状況です。

出典:東京 | オフィスマーケット情報 | オフィス移転・賃貸ビルの仲介なら三鬼商事株式会社 (e-miki.com)

ホテル・商業用ビル

オフィス同様、ホテルや商業ビルもコロナ禍による悪影響を受けています。外出自粛による客数の減少や訪日外国人の減少、緊急事態宣言による営業自粛や時短営業が影響し、業績が大きく悪化しています。首都圏においても空室率が上昇し、賃料が下落する事態となっています。

CBREが発表した2021年第二四半期の小売テナント部門の賃貸の状況によると、銀座のハイストリートでは空室率5.1%(前年同期比+3.4%)と空室が目立つ状況。坪あたり賃料も243,000円(前年同期比▲9,200円)と厳しい状況です。

銀座最大級の商業施設「GINZA SIX」においても、大量にテナントが閉店するというニュースが報道されており、新型コロナウイルスがマーケット与える影響を今後も注視しなければなりません。

出典:リテールマーケットビュー 2021年第2四半期 | CBRE (cbre-propertysearch.jp)

倉庫

各カテゴリーの中で、最も伸長しているのが倉庫です。
Amazonや楽天市場などに代表されるECサイトの利用者が増大していることを主な要因として、首都圏内外に関わらず倉庫などの物流施設の需要が急拡大しました。倉庫は広い土地を必要とすることから供給が少なく、数多くの投資家、デベロッパーが物流不動産の開発に参入しています。

実際、2021年第1四半期末時点における東京圏の物流不動産市場の賃料水準は坪当たり月4,388円(前年同期比+0.7%)、空室率は0.9%と好調な推移を見せています。コロナ禍でダウントレンドが続いているオフィス、ホテル、商業ビルなどのセクターとは異なり、成長を続けています。

また、倉庫などの物流施設は企業に対して建物を貸し出すため、人口減少の影響を受けにくい側面があります。この点においてレジデンスより若干優位性があることも、投資家たちの人気を集め価格を押し上げる要素と言えるでしょう。

不動産投資のご相談・お問い合わせで「不動産投資の基本がわかる書籍」等プレゼント!

オリンピック影響より懸念されるコロナ影響

上述の通り、レジデンス(住宅)、オフィス、ホテル・商業用、倉庫のどの部門においても、最新データからは東京オリンピック開催後の変化を特に見ることができませんでした。

むしろ、昨今のEC市場の隆盛に伴う倉庫市場の好調や、コロナウイルス流行に伴うオフィス、ホテル、商業のダウントレンドの影響が強い傾向にあり、この傾向は引き続き続きそうです。

住宅は不況に強い側面から堅調な推移を見せており、首都圏の戸建住宅においてはこの2021年においても成約価格の前年同期比が1~3月で7.9%、4~6月度で19.8%、7~9月度で9.4%と連続して伸びています。

コロナウイルスが不動産投資に与える影響については、「コロナ問題から16ヶ月!不動産投資への影響分析と「2021年」今後の予測 」でも解説しています。是非参考にしてみてください。

まとめ

これまでオリンピックが開催された世界各国のデータを見てみると、オリンピック開催が経済成長にもたらす影響は大きく、開催後においても中期的な伸びを見ることができました。
また、開催地における建設投資や不動産価格についても中期的な伸びが見られ、不動産投資家としては好ましいデータでした。

東京オリンピック後、首都圏の不動産価格が下落するという噂の主な原因は、前回の東京オリンピック後に起きた不況の記憶が残っていることが主な原因と考えられますが、この不況の原因は加熱しすぎた証券市場を引き締めるための金融政策によるものであり、今回の東京オリンピックとは前提が異なります。

実際、各不動産カテゴリーの最新資料においても、東京オリンピックの影響は今のところ見られておらず、不動産投資への影響は限定的と言って良いでしょう。
ただし、オリンピックよりも新型コロナウイルスや、2022年問題(生産緑地問題)の影響が強いと予想されている方も多く、引き続き市場の動向には多角的な観測が必要です。

一喜一憂することなく、これまで通り市場と向き合いましょう。

生産緑地法問題については以下で詳しく解説しています
2022年の生産緑地法問題で不動産価格暴落!?不動産投資は終焉か?

コロナ禍においても入居率99%をキープし続ける
プロパティエージェントの「物件情報」はこちらからお問合せください。

Last Updated on 2021.11.30