REIT(リート)と不動産投資、サラリーマンに有益な投資はどっち?

REITと実物不動産、サラリーマンが今はじめるべき投資はどっち?

REITも実物の不動産投資も、不動産を投資対象とする点においては同じです。REITは証券口座を開設すれば誰でも数万円から始められるため、多くの投資家に人気を博しています。しかし、実物の不動産投資とREITとではどちらのほうが、利回りが良いのか、逆にリスクが大きいのかについて、正しく理解している人は少ないのではないでしょうか。今回はREITと実物不動産投資を徹底的に比較し、どちらがサラリーマン投資家に合っているかを考えてみましょう。

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REIT(リート)と不動産投資の違いとは?

REITとは「Real Estate Investment Trust (不動産投資信託)」の頭文字をとったもので、日本ではJ-REIT(ジェイ・リート)として知られています。2001年9月に日本ビルファンド投資法人、ジャパンリアルエステイト投資法人が上場したのを皮切りに、現在では62銘柄が取引されています。物件数は4,300件、資産総額は20兆円を超える規模になり、世界的にみても大きな市場に成長しました。

では、現物の不動産に投資する不動産投資とREITは、投資する側からみてどのような違いがあるのでしょうか。

REITについて詳しく知りたい場合は、以下のリンクの記事をぜひ参考にしてみてください。初心者向けにREITの仕組みや分配金の流れについてわかりやすく紹介しています。

参考記事:不動産投資信托(REIT)とは?初心者向けに解説!仕組みと注意点

不動産を取得するのはどっち?

 不動産<取得>の有無
REIT取得しない
不動産投資取得する

 

REITと実物不動産投資との大きな違いは、投資不動産そのものを投資家が購入して賃料を得るのか、投資法人が代わりに不動産を取得するのかという点です。

実物不動産投資では、投資家が自己資金や融資を活用してワンルームマンション、1棟アパート、収益ビルなどを購入して賃料を直接受け取ることで投資収益を生み出します。
投資終了時には所有不動産を売却することで投資資金を回収します。

不動産を運用するのはどっち?

 不動産<運用>の有無
REIT自分で運用しない
不動産投資自分で運用する

 

REITと実物不動産投資も不動産に投資して資産運用するという点では同じですが、REITの方が一般的な資産運用のイメージに近いかもしれません。

REITは、一般の投資信託を購入する場合と同様に、証券会社の口座を通じて証券を購入して、分配金を受け取ることによって運用します。投資先は不動産自体ではなく投資法人です。投資法人は、専門の免許を受けた運用会社の指示にもとづき、投資家から集めた資金で不動産を購入、管理運用、賃料の受け取り、売却による資金回収を行うことで投資収益を上げ、それを投資家に分配します。

所得の種類について

両者の違いは、所得の種類の違いにも表れてきます。

REITの場合
配当控除がないことを除けば、株式投資とほぼ同じです。
REITの場合には証券投資であるために、売却益にかかる税金は、「譲渡所得(分離課税)」となります。証券口座を開設するときに、証券会社が源泉徴収するか(特定口座)、自ら確定申告するか(一般口座)を選択することになりますので、自分の収入の状況や確定申告をするか否かによって、適切な口座方式を選択することになります。

分配金の税金については「配当所得(総合課税)」として認識し、総合課税か申告分離課税かを選択することができます。特定口座の他に一般口座での取引がある場合や、証券口座がある場合には、総合課税を選択した方が所得税が安くなることもあります。

実物不動産の場合
所得は「不動産所得」となり給与所得や事業所得と同様に「総合課税」となります。総合課税のグループに属する所得は、合算されて累進課税の税率が適用されるために、所得が高くなればなるほど税金は高くなります。

REIT(リート)のメリット・デメリット

REITのメリットは、数万円の少額投資から始められること、そしてリスク分散が図れることです。
REITの投資先である投資法人では、多くの投資家から資金を集めて複数の物件に投資するために、REITに投資するだけでリスクが分散されることになります。

一方、REITの購入資金は原則として自己資金のみで、金融機関からの借入を利用することができないために高額な投資が難しいところは実物不動産投資に劣ります。

実物不動産投資のメリット・デメリット

実物不動産投資のメリットは、投資対象の不動産を担保に金融機関から借り入れをすることで、自己資産を大きく超える不動産に投資できることです。
このような投資手法は「レバレッジ投資」と呼ばれますが、自己資金に対する利回りは全額自己投資の場合よりも高くなる傾向にあります。
また、実物不動産の減価償却を税務上損金として計上することで、節税効果を得ることもできます。

デメリットは、やはりリターンが大きい分リスクも大きくなることでしょう。リスク分散を図るためには大資本で投資する必要があること、また換金するまでに時間がかかることは気に留めておきましょう。

REIT(リート) vs 不動産投資【利回り編】

それでは、REITと実物不動産投資のどちらが自分に合っているのかを、投資において重要な5つの視点、「利回り」「レバレッジ」「流動性」「騰落率」「税金」に着目して考えていきましょう。

まずは、投資利回りの面でJ-REITと実物不動産投資の比較をしていきましょう。

REIT(リート)
2021年8月現在において、REIT平均分配金利回りは3.4%前後で推移していますが、分配金利回りは、投資法人によってかなり差があります。
2021年8月現在のREITの相場から、実際の利回りを見ていきましょう。

順位証券コード投資法人名運用資産分配金利回り
13470マリモ地方創生リート投資法人複合型5.24%
23468スターアジア不動産投資法人複合型5.08%
32971エスコンジャパンリート投資法人商業施設5.06%
43451トーセイ・リート投資法人複合型5.04%
53492タカラレーベン不動産投資法人複合型4.95%

(2021年8月19日終値時点)

分配金利回りの上位5法人のうち4法人運用資産は、商業施設、オフィスビル、住居系、ホテルなどさまざまな種類の投資用物件が含まれる複合型となっています。組み入れる不動産や地域のバランスを考慮して幅広い物件に投資しているために、利回りが比較的高くなっているといえます。
しかし、組み入れ資産の中には地方の物件が相当数含まれているために、空室や景気変動の影響を受けやすいという特徴もあります。

不動産投資
実物不動産投資における利回りには、代表的な計算方法としては「表面利回り」と「実質利回り(NOI)」があります。

表面利回りとは、「(年間家賃収入÷物件価格)×100」の計算式で算出される単純な利回りです。
もっとも、不動産経営には管理費や税金などさまざまな支出が伴いますので、収入から支出を差し引いた手残りで利回りを計算する「実質利回り(NOI)」合わせて表示されることが多くなっています。

標準的な利回りは投資対象のエリアによってかなり差があります。地方物件の場合には表面利回りで10%前後、東京都内だと6%前後が目安となりますが、物件の種類や構造、立地によって利回りはさまざまです。

REITと不動産投資を「利回り」で比較した際、どちらが圧倒的に良い、ということは一概にはいえませんが、REITは、プロが運用し、自分では工夫できませんが、不動産投資は自分の目利き力や運用法によって、好収益を上げられる可能性がある、という点は大きな違いといえます。

REIT(リート) vs 不動産投資【レバレッジ編】

REIT(リート)
REITは、数万円から始められ、手軽さはありますが、投資を目的とした融資はないので、投資金額の上限は自己資金額となり、リターンの額も投資可能な自己資金次第で決まってきます。

不動産投資
一方、実物不動産投資の場合は、多くの場合、投資対象の物件に抵当権を設定して金融機関から融資を受けて投資を行います。

融資を受けて少ない自己資金で高額物件を取得する、つまりはレバレッジを効かせることによって、不動産の運用益と売却益が100%自己資金の場合に比べて大きくなります。また会社勤めであれば、信用力が高いために金融機関から借りられる金額も多く、自己資金なしで物件に投資できることもあります。

このことから、不動産投資におけるレバレッジ効果を最大限生かすことができ、投資収益や資産運用の効率を最大化するという面から考えれば、REITよりも不動産投資が適していると言えます。

REIT(リート) vs 不動産投資【流動性編】

REIT(リート)
REITでは、証券会社を通じて簡単に売買が可能です。
ネット証券であれば、ワンクリックで容易に現金化することができ、短期間での売買が可能なため、流動性は高いといえます。

不動産投資
実物不動産投資の場合には、物件を購入してくれる買主を探索し、現地確認、売買契約、決済・引渡まで早くとも1ヶ月前後、場合によっては3ヶ月、半年といった長期間に及ぶ場合もあります。また、一般的に5年程は保有し、その後売却して収益を得ることを考えると、流動性はREITと比較して低いといえます。

REIT(リート) vs 不動産投資【騰落率編】

「騰落率」とは、投資信託の価値が基準となる価額からどれだけ(上下どちらでも)変化したのかを表す指標です。前日の価額と比較したり、年初の価額と比較したりして、どれぐらいの価格変動があったかを示すことで市況を判断します。

REIT(リート)
REIT市場では各銘柄の騰落率が毎日発表されていますが、銘柄によって騰落率は様々です。下の表は、現在から1年間における騰落率のランキングです。

順位証券コード投資法人名運用資産騰落率
13298インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人オフィスビル+68.30%
28963インヴィンシブル投資法人ホテル主体+55.41%
33287星野リゾート・リート投資法人ホテル主体+53.61%
43476投資法人みらい複合型+52.82%
58966平和不動産リート投資法人複合型+50.44%

(2021年8月19日終値時点)

コロナウイルスの影響で一気に基準価格が下がり、その後回復した関係で、ここ一年間の騰落率は軒並み大きく上昇しています。
2020年初頭、コロナウイルスの感染が始まったころには、それまで2,200ポイントあった東証REIT指数(※)が一気に1,100ポイント程度まで下がりました。しかし、今年に入って世界的なワクチンの普及や経済や人流の流れが戻りつつあることを受け、また2,200ポイント付近まで回復しています。

このように、REITは毎日市場で取引されるため、騰落のスピードが速く、株式市場や経済市況の影響を受けやすいといえます。

※東証REIT指数:日本のREIT市場の状況を把握するために東京証券取引所が算出・公表している指数です。

不動産投資
現物不動産投資においても景気変動の影響は少なからず受けますが、自分の投資対象不動産の価格が毎日発表されるわけではないために、価格の変動を認識することはありません。そのため、不動産市況の影響についても緩やかだと考えられます。

REIT(リート) vs 不動産投資【税金編】

不動産投資の収益を考えるときには税金面もはずせないポイントとなります。REITと実物不動産それぞれにかかる税金を比べてみましょう。

REIT(リート)
REITの売却益は、給与所得や事業所得など他の所得とは分けて課税される「分離課税」が適用されます。税率は、所得税・住民税、復興特別所得税を合わせて20.315%です。

一方でREIT分配金は、「申告分離課税」か、給与所得や事業所得などと合算されて累進課税が適用される「総合課税」かを選択できます。申告分離課税を選択した場合は、他の株式などの取引で発生した譲渡損失と通算することができますので、場合によっては課税額が抑えられます。逆に総合課税を選択すると、配当所得として給与所得などと合算した所得の合計で税率が決定されます。

また、NISA(少額投資非課税制度)を利用することで、REITの売却益や分配金が非課税になります。年間のNISA投資額の上限は120万円です。

不動産投資
実物不動産に個人で投資した場合は、毎月の賃料収入(インカムゲイン)は不動産所得となり総合課税、売却益(キャピタルゲイン)は不動産売買にかかる譲渡所得として分離課税になります。売却益に対する譲渡税は、それまでに物件を所有していた期間の長さに応じて税率が異なり、売却した日を含む1月1日時点において5年以下(短期譲渡)であれば所得税・住民税、復興特別所得税を合わせて39.63%、5年超(長期譲渡)であれば20.315%が課税されます。

税率だけを見ると、REITの方が有利に思えますが、実物不動産に投資した場合には、税金や管理費用などのさまざまな必要経費や減価償却費を税務上損金計上できるために、実際の所得はかなり抑えられます。また相続税対策も打てることなど、総合的に考えると、税制面では実物不動産投資の方が幅が広いといえます。

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どっちが儲かるの?REIT(リート)と不動産投資の運用例

それでは、簡単な例で運用例を比較してみましょう。

【例1】
投資対象:ワンルームマンション
物件価格:1,000万円
年間賃料:45万円
5年後の売却価格:1,100万円
借入額:700万円(固定利率2%・返済期間30年)

【例2】
投資対象:REIT
投資価額:300万円
年間分配金13.5万円
5年後の売却価格:330万円

利回り4.5%の実物不動産とREITに自己資金300万円を投資し、5年後に10%のキャピタルゲインが得られた場合を考えてみましょう。単純にするために諸経費は割愛します。

まず、例1の場合、5年間の借り入れ返済額は約155万円で、賃料から返済額を差し引くと約756万円です。5年後の残債は約610万円となり、この時点で1,100万円で売却できた場合には、ローン返済後の手残りが490万円となります。
賃料分の75万円を加えると、最終的には、565万円が手元に残る計算になります。

一方で例2の場合には5年後の手残りは397.5万円となり、両者には約160万円近くの差が出てきます。
これが不動産投資におけるレバレッジ投資です。

今サラリーマン投資家がはじめるべきなのはどっち?

不動産投資について初心者である場合には、証券口座を開設して少額からすぐに始められるREITの方が、実物不動産投資と比べてとっつきやすいと感じるでしょう。

しかし、REITでは金融機関からの借入れが活用できないために、同じ額の自己資金であっても投資収益は実物不動産投資に比べて少なくなってしまいます。

自己資金が少ない中で、融資を受けずに投資を行えば、その規模にはどうしても限りがあります。すると、そこから生まれる利益も当然少なくなり、資産を増やすのにも長い時間がかかります。

投資の目的がちょっとした小遣い稼ぎだとすれば、元本割れのリスクも考慮しつつ、少しREITに挑戦するのは良いことでしょう。
しかし、特にサラリーマンであれば、金銭面において安定した収入が将来的に見込めるため、金融機関の審査では返済能力が高いと評価される場合には、頭金なしの不動産投資も可能です。これはサラリーマン投資家だからこその利点です。この強みを生かさずにREITだけで小さな投資を行うことは、もったいない、と言えます。

まとめ

ここまでREITと実物不動産投資の違いについてまとめてきました。

REITへの投資は少ない自己資金からでも始められ、流動性は高いものの、短期間で暴落する可能性もある、という特徴があります。

一方で実物不動産への投資は、融資によるレバレッジが効くという点で投資効率が高く、扱う資産の規模や資産形成のスピードにおいて優れています。

REITと実物不動産投資それぞれの特徴を理解して、自分に適した投資の形を選ぶことが大切です。最後にREITと実物不動産との比較を表にまとめますので、おさらいに活用して下さい。

 REIT実物不動産投資
利回り 3〜6%※ネット利回り7%以下(都内の場合)※表面利回り
投資資金自己資金による投資融資を利用することで自己資金以上の投資が可能
投資対象オフィスビル・商業施設・ホテル・物流施設など戸建て・マンション等の区分所有・アパート1棟など
売買即時売買が可能換金が短時間で可能時間を必要とする
税金(個人の場合)売却益・配当所得において申告分離課税売却益は申告分離課税不動産所得は総合課税
リスク証券相場変動の影響を受けやすい空室・災害等のリスクはあるが比較的安定

 

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不動産投資TIMES(プロパティエージェント)編集部

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